ひらがなタイムズ9月号発売中!

何やかやと立て込んでご報告が遅れましたが、『ひらがなタイムズ』9月号、発売しております!今回の執筆記事は2本です。

1本めは、日本の冴えた文化を紹介するコーナー「クール・ジャパン」で、バンド『破天航路』さんについて。音楽はロック、メタル、端唄(江戸時代の歌曲ですね、三味線バックに歌う感じの)、ダンスは殺陣、日舞、バレエと、「何でもアリ!」感が魅力のグループです。個人的には、構成の良さに大満足!どれほど優れた技量でも、いち公演中に(あ、コレさっき見た/聞いた)という要素があると艶消しなもの、破天航路さんは次々に新手を繰り出して見せてくれるので、たるみ無くラストまで見入ってしまう感じでした。(それだけ引き出しが多い方々だってことでしょう)。

直近のライブは9/6(水)に六本木、とのことです。また、取材のもようをyoutubeにもアップしていますので、ご興味のある方は是非こちらから!(砂崎も顔出ししています♪)

2本めの記事は、日本と母国との間で活躍する方を取りあげる「プロファイルズ」コーナー。インタビュイーはバリアフリー情報提供サイト『ACCESSIBLE JAPAN』主宰する、グリズデイル・バリージョシュアさんです。手足に障害をお持ちのグリズデイルさんですが、来日して仕事を見つけ、日本語もマスターして、さらに日本に帰化されました。そして、障害のある外国人が安心して来日できるようにと、『ACCESSIBLE JAPAN』をボランティアで運営されています。

外国に移住して国籍も替えるということは、なまなかの覚悟では出来ないと思いますが、元が移民の国カナダ出身の方は、ポジティブに受け止められるようですね。グリズデイルさんは、「日本が好きで、この社会の責任ある一員になりたいと思ったから」とためらいなく答えていらっしゃいました。お母さまも、「私の両親もそもそも移民、二人がカナダへ来て、それで今この家族が存在する。あなたも冒険して、幸せになりなさい」と送り出してくださったとか。

グリズデイルさんの今後のご多幸とご活躍を心からお祈りいたします。

さて、今月は。砂崎、ひさびさに講演会をおこないますよ!お題はもちろん「源氏物語」。よくある「光る源氏」についてのお話ではなく、その息子(とされている)薫について、「香り」という観点から語ります。ちょっとコアな源氏物語を知りたい方は、是非こちらから!

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ひらがなタイムズ8月号発売!

前号が「けものフレンズ」でまさか?のブレイクをした『ひらがなタイムズ』、最新号が本日発売です!砂崎は今回、2本書いています。

1本めは、日本の古典文学大好き!というイタリア人女性、イザベラ・ディオニシオさんのインタビュー。この方、砂崎が東洋経済を読んで、「これ!」とピンと来た方です。軽妙なギャグが冴える流暢な日本語で、「女装おじさんの旅日記」すなわち『土左日記』について書いているんですもの、「この方ぜったい砂崎と話が合う!」と、ひらタイに頼んで仕事させてもらいました。で実際お会いしてみたら、…やはり、最高に盛り上がりましたね!「紫上と六条御息所、どっちが推しか?!」で(笑)。

2本めは、ありのままの日本暮らしを伝える「日本で日本語」コーナーの記事で、インタビュイーはライアン・ブタックさんというハワイアンさん。実はですね、ライアンさん、5月に悠湯里庵(ゆとりあん)へ行ったときに、食堂でお見かけした方なのです。(箸づかい上手い外人さんだなぁ)と思って話しかけてみて、「コレ行ける!」と編集へ企画提案しました。もう、お話が何しろ楽しいんですよ!その詳細は、記事を読んでいただくとして、「へえ」と思ったのが食材の話。日本に来て感心したのが素材の味だったそうです。「アメリカでは、イチゴに砂糖つけて食べていたけれど、日本のイチゴはつけなくても十分あまい」んですと!

ひらタイの仕事は、ステキな人と出会えるので、「役得♪」と思ってやっております。今度は、フィギュアスケーターさんにお会いできないかな?!

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ひらがなタイムズ7月号発売!

遅ればせながら6月20日発売の『ひらがなタイムズ』にお知らせします!

今回、記事3本書いています。

1本め。群馬県の川場村にある温泉旅館『悠湯里庵』と、その周辺の見どころについての記事です。…いやね、ごはんが美味しいんですよ!地元の野菜とかお肉、魚とかを食べて、それから温泉ゆっくり入って。さりげなく良いのが美術品ですね。掛けられた版画とか、飾りのアンティーク家具とかが年季の入った佳品で、それが古民家の中にあるので風情が絶品です。かやぶきの屋根とか、火の入ってる囲炉裏とかもオツ。

2本め。白川静といったら今は亡き碩学ですが、その漢字学を継いだドイツ人のインタビューです。クリストフ・シュミッツさん。『常用字解』を12年かけて英訳・自費出版されました。…意志の強さ。インタビュー中、感じたのはそれですね。字典を1冊、それも漢字ネイティヴでない人がコツコツ訳し続けるなんで、ココロ折れたときもあったでしょう。完遂された一念に感服です。

3本め。スウェーデンから日本に帰化された、日本庭園の庭師にしてタレント村雨辰剛(むらさめ・たつまさ)さんの記事です。日本語がメチャクチャお上手。ひたすら聞いて真似して覚えた方の話し方ですね。書き言葉にまどわされていない、「一般的な日本人の話しグセ」そのままのナチュラルな発音で話されます。いや、お見事。

最後に、『悠湯里庵』取材に行ったとき寄った、『田園プラザかわば』の写真をアップしておきますね。さすが、「東日本一の道の駅」と言われるだけあって、活気はあるしソーセージは旨いし、よろしゅうございました。…後ろの山で斜面滑り、やってみたかったなぁ…。

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北辰一刀流兵法第7代宗家はドイツの方

現在発売中の日英バイリンガル月刊誌『ひらがなタイムズ』6月号、その中で砂崎はドイツ人剣術家マルクス・レッシュ氏をインタビューしています。

レッシュ氏、現在のお名前は大塚龍之介平政智どの。師匠の道場養子になったとき改名されたのだそうです。そして師匠の後を継いで7代目宗家となられた、その流派は、なんと北辰一刀流兵法。幕末ファンなら知らぬ者のない、坂本龍馬ゆかりのアノ古流剣術です。

日本人も、クラシック音楽やらバレエやらフランス料理やら、はたまた「マッサン」のウイスキーやらと、他国のお家芸を学びに渡海して異文化へ分け入り、斯界にてハイレベルの業績をあげてきた訳ですが、今の時代、その逆バージョンもレアじゃない。砂崎が取材した範囲でも、スペイン人弓道家さん、アメリカ人の茶人さん、スウェーデン人の庭師さんと、実に「深い」方が多々いらっしゃいます。

さて今ブログでは、せっかくなので、大塚龍之介氏の画像をいくつかご紹介。2017年3月19日、高知県のテーマパーク『創造広場アクトランド』にて開催された、特別演武の際の写真です。いや、お見事ですね!

 

 

 

 

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ひらがなタイムズ6月号発売!

日英バイリンガル月刊誌『ひらがなタイムズ』、6月号が発売中です。砂崎、今回は記事を3本書いています。

1.「世界中で愛される少林寺拳法」

2.「ジャパンプロファイルズ 北辰一刀流兵法第7代宗家 大塚龍之介政智さん」

3.「日本で日本語 サバス・シャルルさんとゴンザレズ・ヴィクターさん」

少林寺拳法は、よく耳にする割には周囲にやっている人がいなかったので、今回初めて実物を拝見しました。和気あいあいとした雰囲気で、外国人拳士のレベルの高さが印象的でしたね。

「日本で日本語」は、日本に暮らし日本語を使って生活している人を取りあげるコーナー。今回インタビューしたお二人はどちらも、飲みニュケーションで日本語を覚えた方でした。しかも流暢。・・・それで口をそろえて「日本語学校で教える日本語って、実際につかうと『不自然』『古い』って言われるんですよねー!」ですと。

これには砂崎も考え込んでしまいましたわ。砂崎じつは日本語教師の資格持ちで、教えた経験も一応あります。なのですが、このお二人ほどコミュできる生徒さんは、なかなかいなかったのですよ。現在の日本語教育、これでいいのか・・・と、考えさせられる取材でした。

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ひらがなタイムズ5月号発売!

ひらがなタイムズの最新号が発売されました!

今回は1本、「日本で日本語」という記事を担当しています。インタビュイーはスペイン人の女性弓道家アイノア・カラフさん。ストイックかつ求道的で、「武士道」を感じさせる魅力的な方でした。

印象的だったのは、彼女がインタビュー中ハッと肌のタトゥーを隠したこと。そして「ごめんなさい、今日はタトゥーの上にテープを貼るのを忘れてしまいました。スペインにいたとき日本が大好きなので漢字のタトゥーを入れたのですが、日本ではタトゥーは好まれないということを、日本に来てから知りました。日本の文化を尊重したいので、ふだんはテープでタトゥーを覆っているのですが、今日は時間がなくて」と、礼儀正しく謝罪されました。

外国人のタトゥーについては、東京オリンピックを控え、銭湯で許容するか否かが話題となっていますが、当の外国人全てが「タトゥーを認めないとは許せん!」と言っている訳ではない。当たり前といえば当たり前ながら忘れがちな事実を、思い出させてもらいました。

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ひらがなタイムズ2015年6月号 イスラム話

前回イスラム教徒向けの食事「ハラルフード」について書いたのをきっかけに、ハラルフードについて書いた『ひらがなタイムズ』2015年6月号を引っぱり出してきてみました。

タイトルは「ハラルフードを食べられる場所が増えている」。カラオケまねきねこさんの四谷三丁目店と、新大久保のイスラム横丁、京懐石の美濃吉さんを取材しました。美濃吉さんは2017年4月現在、ハラル対応料理の受付を休止しているとのこと。非イスラム圏である日本でハラルフードを提供するのは、採算面だけでなく、イスラム法の解釈等の面からも大変であろうと思います。

この6月号では、イラン出身の歌手・アナウンサー、ナヒード・ニクザッドさんについても書いています。イランは、イスラムの少数派シーア派を国教とする国。ハラルフードについての話にはなりませんでしたが、「イラン伝統の音楽しか放送されない環境で育ったので、日本に来て合唱団に入り、『間奏』というものを知ったときにはびっくりしました」等々、文化の違いを実感する話をいろいろ聞かせていただきました。

イランは、外国人旅行者の女性にもスカーフ着用を要求する厳格なイスラム国家ですが、砂崎が日本でお目にかかったイラン女性は、皆スカーフを着けずに暮らしていますね。インドネシア女性は着ける人着けない人、半々という感じでしょうか。エジプト人は多数が着用派、湾岸出身の方は目以外をすっぽり覆うタイプのスカーフを着ける人がほとんど、という印象です。日本では着けないけれど本国では着ける、という方も多いようです。ひとくちにイスラム教徒と言っても、女性のスカーフひとつでこれだけ違います。

脱線しました。この6月号では、表紙になっている「2.5次元ミュージカル」、つまりアニメ・マンガが原作のミュージカルも取材・執筆しています(こちらはイスラムと関係の無い記事です)。帝劇で拝見した『DEATH NOTE』、すばらしかった!今年再演が始まり、日本を巡回しているので、ミュージカルファンは必見です!

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ハラルフードはヘルシー? ダイエット向け? 

イスラム教徒向け食べ物についてのあり得ない記事

発端は、旧知の編集さんからの電話でした。

編集者「砂崎さん、東大のイスラム学科卒ですよね。今ムスリム向けの食品ハラルフードが人気だそうなんで、その記事書いてくれませんか?」
砂崎「え、ハラルフード、人気なんですか?」
編集者「ヘルシーでダイエットにもいいって…**新聞さんの記事なんですが」。
砂崎「ええッ、ハラルフードがヘルシーでダイエットにいい?!それ、大ウソですけど、**新聞が?!」

そのあと当該記事を読み、さらにググってみてビックリです。ヘルシー、ダイエット向きだけでなく、ベジタリアン料理だの、厳選素材だの、アレルギーに安心だの、安全管理がしっかりだの…。不正確どころか危険でさえある内容のサイトが、ぞくぞくと出てくるではありませんか。
イスラムに関するトンデモねたや、ネガティブな偏見にはもはや慣れっこですが、「ポジティブな偏見」まで出てくるとはウンザリです。ハラル認証ビジネスなのか、五輪を控えてのおもてなしブームなのか知りませんが、こと健康に関わるだけに、ウソは止めていただきたいものです。

 

そもそもハラルフードとは

ハラル(ハラール)とは、アラビア語で「合法な(もの・こと)」を意味します。イスラム法の観点から、ムスリム(イスラム教徒)が行ってもいいもの・ことを規定する考え方です。食品の場合、
・アルコールと関わりがない
・ブタに由来する物質が入っていない
・肉の場合、ムスリムが神の名を唱えながら規定どおりのやり方で屠畜したもの
この3つが大原則です。(細かく言えばキリがないので、この稿では大原則のみに絞ります)。
つまりハラルフードとは、イスラム法の食事規定を満たした食品です。それ以上でもそれ以下でもありません。

もちろん、ハラルフードであり同時にヘルシー/ダイエット向け、という料理は存在します。しかし、ハラルだからヘルシー、ハラルだからダイエットにいい、ということは絶対にありません。ハラルとは、健康やダイエットとは別の次元の概念、ムスリムが神に対して自己の行動を問うときの指標なのです。

 

ハラルフードはヘルシーなの?

ネット上では、ハラルフードがヘルシーである理由として、「厳選素材で作られているから」「出汁や成分までチェックしているから」「イスラム法の作法に従って処理されているから」「流通過程まで調べているから安全管理がしっかりしている」という理由が見受けられました。これらは皆、ポイントを外しています。

「素材を厳選する」のは、ブタ・アルコール由来の食品を避けてそれ以外の素材を選んでいるからです。「出汁や成分までチェックする」のは、しょうゆやみりん、ゼラチンなど、これまたブタ・アルコール由来のものが混じっていないか見ているからです。「イスラム法の作法に従った処理」とは、ムスリムが屠畜しているか云々なので、ヘルシーとは別物です。「流通過程まで調べる」のもブタ・アルコールのチェック、したがって安全管理とは別次元の観点からの調査です。

日本人の目から見てヘルシーか否かは、菌など有害物で汚染されていないか、栄養のバランスがとれているか、カロリー過多でないか、といった要素で決まるでしょう。これらの要素と、ハラルか否かは無関係です。実際、とある日本の精肉企業がハラル認証を取ろうとして、消毒に使うアルコールもダメだと言われ、「これでは衛生水準を保てない」と断念した例があります。対照的に、テレビのドキュメンタリー番組などで中央アジアの遊牧民がヒツジを殺し、調理する場面が見られることがありますね、あれはハラルです。頸動脈のひと切りで屠畜していますし、神の名を唱えていますから。ナイフを消毒しているか、地面に直置きしていないかなどは関係ありません。
これらのことから、ハラルだからヘルシー、とは言えないことがわかるかと思います。特に衛生面に関しては、日本を上回るレベルの国は(イスラム・非イスラムを問わず)そうそうありません。外国へ行って食事するときは、信頼できる店かどうか、食材に火がよく通っているかなどに、重々注意されることをお勧めします。

 

ハラルフードはダイエットにいい?

上記のとおり、ハラルフードの主要ポイントはブタ・アルコール・屠畜の方法です。カロリーが低いかどうかとは無関係です。また中東の、日本人が立ち入れるような国々へ行ってみれば、日本人レベルでなく肥満した人々を大勢目にすることと思います。これは肥満を豊かさの象徴とする価値観やスポーツをたしなまない生活習慣のためでもありますが、カロリー・糖分過多の食生活も無縁ではありません。特に砂糖に関しては、伝統的に薬とされてきたことや酒を飲まないぶん甘味を摂る文化のせいで、きわめて甘いスウィーツが浸透しています。ハラル=ダイエットにいい、と思い込まず、カロリーチェックや腹八分目を心がけるべきでしょう。

 

ハラルフードはベジタリアン料理?

ハラルフードは野菜がたっぷりとか、欧米ではベジタリアン料理として知られている、という文言が、ネット上に散見されました。これも勘違いです。イスラム法の規定どおりに処理されたウシ、ラクダ、ニワトリ、七面鳥、ヒツジといった肉類は、きわめて一般的なハラルフードです。貧しい地域が多いので、肉を入手できず野菜を食べているという事例は聞きますが、これを「ハラルだから野菜たっぷり!」と考えるおめでたい方はいないでしょう。

また、ハラルフード=ベジタリアン料理でもありません。これは中東料理のひとつレバノン料理に、菜食メニューが多いことから来た誤解かと思われます。レバノンはムスリムがマジョリティの中東には珍しく、東方教会系のキリスト教徒が人口の約40%を占める国で、彼らの宗教的慣習からベジタリアン料理が発達しました。そのためレバノン系移民が多い欧米では、「レバノン料理=ベジタリアン・メニューが多い」と認識されています。しかしレバノン料理は、肉を禁じている料理ではありません!肉メニューもたくさんあります。肉アレルギーの方、レバノン料理だから/ハラルフードだからと言って、安心しないでくださいね。

※「レバノン料理はハラルフードですか」という問いに対しては、かなりの確率でYESと答えられます。レバノンの人口の55%はムスリムなので、ハラル規定を満たした料理が主流です。

 

ハラルフードはアレルギーがある人にやさしい?

冒頭で編集者さんに教えられた某大手新聞の記事、読んで最も衝撃的だったのが、「ハラルフードはアレルギーの人にもいい」というくだりです。もちろんレトリックをくだくだ使って、断定はしない書き方にしていました。それを読んだ読者が「ハラルフードを食べてショック症状が出た!どうしてくれる!」と訴えても、「『安全だ』と断言はしておりません」と言い逃れができるでしょう。しかし小見出しでも「アレルギー」「やさしい」などと謳い、「食べても大丈夫」感をたっぷり醸し出していました。まさしく印象操作です。これで健康被害が出たらどうするつもりなのでしょう。

繰り返しますが、ハラルフードか否かを決める主要ポイントは
・アルコール
・ブタ
・屠畜手順
です。「アレルゲンの除去」という観点はありません。小麦、卵、乳、チーズ、クリーム、ゴマは、ハラルフードの大人気食材です。前項で触れたように肉料理もたくさんあります。
これらにアレルギーのある方は、くれぐれもメディアに誤魔化されず、アレルゲンを確認してください

ネットでは「牛乳・卵アレルギーの方も安心の米発酵アイス!ハラルフードです」という広告を見かけました。当然ながらこれは、お米のアイスだから牛乳・卵を使っていないだけです。ハラルフードだからアレルゲン除去食なのではありません。「ハラルフードは使う素材が一般の料理より少ないから、そのぶんアレルギーの危険も低い」という表現も見かけました。ハラルフードに使われる食材が日本の一般の料理より少ないのは、ブタ・アルコール由来の素材を除いているだけです。ですから「ハラルフードなのでアレルギーの危険性が低い」が当てはまるのは、ブタ・アルコールがアレルゲンの方だけです。

もう1例を挙げましょう。こちら、カタール航空のサイトをぜひ見てください。
カタールは厳格なイスラム教徒が多い湾岸の国で、当然「機内で提供するお食事はすべてハラル」です。それでも、「いかなるアレルギー反応の発症にも責任を負いかねます」とガッチリ明記しています。ハラルフード=アレルゲン除去食、でないことは、これでよくわかると思います。

 

ハラルフードは添加物がない?/ハラルフードはオーガニック?

「これオーガニックだから大丈夫だよ」と、ムスリムの人にお菓子をあげている日本人を見たことがあります。しかし、オーガニックだからハラルフードという訳ではありませんし、ハラルフードだからオーガニックでもありません。どうも「ハラルフードはより自然」という偏見があるようですね。「乳化剤を使っていないからハラルフードはよりナチュラル」とか、「ムスリムにとっていい物は日本人にもいい」という言説も見かけます。どれも的外れです。

しつこいですが、ハラルフードのメイン基準はブタ・アルコール・屠畜基準です。それ以上でもそれ以下でもありません。

そもそも、オーガニックだの無添加だのナチュラルだのが体にいいかどうかも問題ですが、ここではハラルという点からだけ見てみましょう。ハラル認証では確かに添加物を念入りにチェックします。しかしそれは、ブタ・アルコール由来の成分を見ているだけです。乳化剤は原則忌避されます。でもそれは動物由来の乳化剤の場合、ブタ系である恐れが高いからで、植物由来ならOKとされます。添加物を減らそうとしている訳ではないのです。

また、オーガニックかナチュラルかという問題ですが、日本人の一般的なイメージでは、農薬を使わず有機的な肥料で栽培したものがオーガニックでナチュラルでしょう。しかしハラルの観点では、農薬・肥料にブタ・アルコール成分があるか否かが問題です。自然派農法をしている農家さんが、飼っているブタの糞を肥料に使ったりしたらバツですね。つまり、オーガニックとハラルもまた別物だということです。

「ムスリムにとって安心なら日本人にも安心」という言い方もマカ不思議です。日本人の皆さん、アルコール除菌「していない」と知って、安心しますか?この肉はムスリムが屠畜していると聞いて、「なら少し高くても買うわ」と思いますか?ハラルはムスリムの方の心の問題なのです。非ムスリムにとってメリットはありません。いやむしろ、非イスラム国家である日本でわざわざハラル認証を取得するぶん、コストがかさみ店頭価格は割高となっているでしょう。だからデメリットがあると言うべきかもしれません。

こう言うと「いや、ハラルは清潔を重視する!非ムスリムにとっても清潔はメリットだろう」などと反論する方がいますが、イスラム法が規定する「清潔」と日本人の感じる「清潔」は、アルコール除菌の件でもわかるとおり、異なります。「あなたにいいものは私にもいい」という「人類みな同じ!」的発想で臨むより、「あなたと私は違い、それによって利害も異なります。どこまで譲り合えますか」という態度で接した方が、長い付き合いができるかと思います。

幸い、この点は来日されるムスリムの方のほうがよくご存じです。「日本が非イスラム国家であることは承知で来ましたから」と言い、自分なりの「ハラル基準」を心に持っている方がほとんどです。もともとイスラムという宗教自体、地域差・個人差が実に大きいのです。「ブタ、食べます」という人も(稀ですが)いますし、反対にとても敬虔で「日本滞在中も、国から持参したハラルフードしか食べません」という人もいます(自国・自派のハラル認証しか信頼しないという意味ですね)。ムスリムを十把ひとからげにして、「ハラルフードを提供しなくては!」と慌てふためくより、「食べられないものはありますか?」と訊いてその人その人に合わせた方がいいと、砂崎の経験上は思います。

 

正の偏見も負の偏見もお断り!

さて、ハラルフードのせっかくの「よい評判」を、ひとつひとつ打ち壊してまいりました。「どうして?イスラムが嫌いなの?」と思われましたか?いえいえ、そんなことはありません。と言うより、「イスラムだから好き」とか「嫌い」とか語るには、多様すぎるのですイスラムは。昨今、ハラル認証ビジネスがお元気ですが、それを利用した飲食産業・ホテル産業の方は、「حلال‎ 付いた証明書ゲットだぜ!」と喜ぶより、「酒類は提供していますが、食器・シンク・洗うスポンジを分けています」とか、「弊社が取得したハラル認証は**国の**団体が出したものです。消毒のアルコールは許容するとされています」、「豚肉は使っていませんが、この牛の屠殺に当たりムスリムが神の名を唱えているかはわかりません」など、獲得した認証の中身を語れるようにしておいた方がよいと思います。後は聞いたムスリムが判断するでしょう―本当に千差万別ですよ、イスラムは。

まあこの辺りは、我ら日本人だって「仏教徒だから仏さま拝みたいでしょう?お仏像用意しておきましたよ」と言われチベット仏像を差し出されたら、(いや、これ、違う)と思うでしょう。それをイメージしてもらえればよろしいかと。

後ですね、ハラルフードだからムスリムだからと持ちあげる風潮もいかがかと思います。イスラムへのひどい偏見があるのは承知の上です。だからと言って、イスラムやハラルフードを過大評価すれば「リベラル」「ポリコレ」になる訳ではないでしょう。偏見は、ネガティブであれポジティブであれ偏見なのです。ブームを作ってしまおうとする雰囲気、ハラル認証ビジネス業界の煽りめいた空気も感じます。

述べてきたとおり、ハラルフードはムスリムの視点からジャッジされた信仰の指標であり、それ以上でもそれ以下でもありません。ハラルだからヘルシー、ハラルだから衛生的、ハラルだからダイエット向き、ハラルだからベジタリアン食、ハラルだからアレルギー対応、ハラルだから無添加、ハラルだから安全、ハラルだからオーガニック、…。どれも「ハラルとは何か」を知っていたら言えないことばかりです。「ハラルだから」という前提から導けるのは、「イスラム法に照らして合法である」ということだけです。

不当なアゲもサゲも不要です。どんな国の料理も衛生的な品をバランスよく、適量食べれば基本ヘルシーで安全ですし、あなたの好み・体質に合えばおいしいでしょう。ハラルフードもそうです。ふつうに食べてみて、気に入ったら食卓の常連にしてあげてください。ハラルフード=非ムスリムが食べてはいけない食品、ではありませんから。砂崎の好物は豆ペーストのホンモス、やや酸っぱいサラダであるタッブーリ、塩味のヨーグルト、お菓子のマウムールです。特にマウムールは、レバノン大使館に伺ったおり砂崎があまりにおいしがったもので、大使がひと箱お土産にくださったほどで…。うう、また食べたくなってきました!

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キャリアウーマンの着物 超短時間で着付けるテクニック

仕事で着物を着るようになって3年が経ちます。

「着物の人」というキャラで覚えていただけたり、話のきっかけになったりする点がいいですね。特に外国の方にお会いするときは、SNS映えするので非常に喜ばれ、「写真写真!」と大いに盛りあがったりします。一方で困るのが、着付けにかかる時間。それで今日は、砂崎がやっている時間短縮のくふうをお話しします。

まずお断りしておくのが、以下の着付けは「着物でありさえすればいい」というシチュエイション向けのものであることです。公式の場の着付けに関しては、専門の方がそういうサイト・本をものしていらっしゃいますから、そちらの方をご参照ください。

 【超短時間着付けのコツ】

その1

体型補整をしない。胸パットお尻パット、おなかにタオル巻きなどいろいろありますが、すべて省略します。なくて大丈夫です。

 

その2

下着はロングキャミ(ロングスリップ)で十分。ついでに言うと、洗う手間もぐっと楽です。ブラは、胸のある方はつかった方がいいかもしれませんが、袷なら省略可能です。

 

その3

襟芯は入れましょう。帯板もそうですが、仕上がりをカッチリ決めてくれます。半襟が既成で縫い付けられている簡易じゅばん、ゴム付き帯板があると、時間短縮できます。

 

その4

襟抜きはしない。これをやり出すと、ついつい引っぱったり整えたりしたくなり、時間がかかります。また、仕事で着る場合荷物が多いので、ショルダーバッグで持ち歩いたりしているうちに元のモクアミに結局なります。襟にこだわらず、さっと着てしまいましょう。

 

その5

帯は半幅帯の一文字結びが最強! とにかくグルグル巻くだけ、その上から帯締めを締めれば緩んだり崩れたりもありません。羽織を脱がなければお太鼓と誤魔化せます!

 

その6

足袋は靴下タイプが最短で履けます。白に近い靴下足袋を見つけたら買っておきましょう。

 

その7

髪は和風柄の大きいクリップがオススメ! ゴムで束ねて挟むだけ、10秒です。

 

仕上がりはこんな感じ

さて、以下の画像が上記のテクを駆使した砂崎の着付けです。メイク・髪も込みで所要時間は10分強。ほぼ1日出かけて帰宅してから撮った写真ですが、出先で崩れ直しはしていません。

 

 

 

 

 

 

着物って、ゆっくり楽しみながら着て、特別なオシャレ感を楽しむのには最適なアイテムですが、ビジネスライクに着ることもできます。あ、そうそう、タスキ大判ハンカチを持参すれば、何か作業が必要になったときも問題なしですよ。

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ひらがなタイムズ2014年3月号より アブディンさんのこと

かつて取材したモハメド・オマル・アブディンさんをWEB連載「半分日本人」で見かけたので、その思い出を。

私アブディンさんを知ったのは、ネットニュースか何かだったと思います。視覚障害のあるスーダン出身の研究者が、流暢な日本語でブログか何かを書いている。多くの外国人学習者がつまづく漢字も楽しげに操っている。これは面白いと、知り合いのスーダン人に訊いてみました。

「アブディンさんて知ってる?」

と言うのも、在日スーダン人のコミュニティは小さいので、絶対知人の知人くらいではあろうと推定したからです。案の定、「うん、友達だよ」とその場で携帯かけてくれました。そして「はい」とその携帯を砂崎へ。

はい、とんとんと話が進み、インタビューさせていただけることになりました。ひらがなタイムズの2014年3月号です。

印象的だったのは、お会いしたとき「握手していいですか」と言われたこと。アラブ系の方はたいていムスリムなので、異性である砂崎が握手するのは好ましくないかな、と遠慮したのですが、「握手すると、握り方とか力のこめ方とかの情報が加わって、その方のことを覚えやすくなるんです」とのこと。

また、「娘が日本で育つことは、本当にいいことだと思っています。例えばイスラムではブタを汚れた動物としていて、スーダンでは『ブタ!汚い!』と避けてしまう。でも日本ではブタのぬいぐるみとかがあって、お隣のおばちゃんが『ほら、ブタちゃん、可愛いわね~』なんて娘と遊んでくれたりする。娘には、そういう多様な価値観があることを知ってほしい」ともおっしゃっていました。異文化に対するアブディンさんの柔軟な姿勢に感銘です。

最近のご動向は伺っていませんでしたが、お変わりないようで何よりです。またお会いしたいなあ。

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